衝動 4



灯り……どうしよう。
キッチンから漏れる白い光。足元から立ち昇るオレンジの光。テーブルの上で揺らぐ小さな灯火。
このまま眺めていたいけど……、明るすぎるかな。
彼女は口と胸を押さえてじっとしている。
あの時は醜態を晒しすぎた。頭に血が上ってたんだ。
上に着ていたシャツを脱ぎながらベッドやサイドテーブルの辺りを見回した。
たいてい照明のリモコンなんかは枕元にあるものだ。
あった。
画面のガイドに従って全部の照明をオフにしたはずなのに、廊下と室内に点在するフットライトは消えなかった。非常灯なのかもしれない。一般住宅じゃないし。
しかしここにベッドを置いてるということは、寝る時も真っ暗にはしないのかな。
フットライトとテーブルの上のキャンドルで影が複雑に揺らいで、まるで新種の魔物を捕らえたみたいだ。
苦しそうだ。あんまりやると可哀想かな。でも、苦しそうな顔をもっと見たい。
酷いな、僕。

「う‥‥ふッ‥‥あ‥‥」

首筋に口を付けた。
ワンピースの裾を捲り上げて下半身を露わにし、下着を少しずらして手を入れた。
一秒でも早くその部分に触れたかった。
毛を掻き分けるように指を這わせる。
急に滑りがよくなった。

「‥濡れて‥‥ますよね‥‥」

言葉ではない応えが返ってきた。
見たい。
触りたい。
知りたい。
下着を勢いよくずり下げ。両腿の裏から掴み上げて足を広げさせた。
あれ、そういえば白じゃなかったな。意外と濃い色。なんだろ、紫?
苦しさからか恥じらいからか、彼女は顔を横に向けて片手で顔を覆っている。
長い足。
広げさせた両足の中心に顔を埋める。
流石にここは薔薇の香りというわけではなかったが、さして気にならなかった。

「ふ‥‥あッ‥」

身をよじるのは気持ちいいからですよね。
髪の毛を、軽く掻き毟られる。
濡れた窪みの奥へ舌を差し込んだ。
もっと溢れさせてほしい。でもこれじゃあ彼女の分泌液か、僕の唾液なのか判らなくなっちゃうな。
身悶えながら、時折小さな痙攣のようなひくつきがある。まだむせが治まりきってないんだな。
いま入れたらどんな感じなんだろう。
妙な好奇心が湧いてしまった。

「ライトさん‥僕もう今すぐ入れたい‥‥」

答えられる状況にないみたいだ。
このまま舌の刺激だけでいかせてもみたいけど。
だけど早く、はやく入れたい。

「あ‥‥んっ‥‥早く‥‥」

え?今この人が早くって言ったの?
体中の血液の温度が上がった気がした。
一瞬、呼吸の仕方も忘れた。
急いでズボンのベルトを外しながら、片手で彼女のあの小さく突き出た部分を剥き出しにして、舐め上げ、吸い付いた。
彼女はもう狂乱の一歩手前だ。
体を離すのは嫌だったけど、このままじゃ脱ぎづらい。
ベッドに横になって、すばやくズボンと下着をまとめて脱いだ。靴下も。
どういうのがスマートな脱ぎ方なのか誰か教えてほしい。真剣に。
なぜか一瞬父さんの顔が浮かんだが、まさか父親に聞くわけにはいかない。というか、あの父もこういう事してたって言うのがどうもピンとこない。
閉じてしまっていた足をもう一度広げさせた。
再び肌と肌が触れ合う。

「は‥‥んっ‥‥」

入っていく。
僕が、彼女の中に。
父さんの方こそ、僕がこんな事してるなんて思いも寄らないだろうな。
入れるとき、鳥肌が立ちそうになる。
この人の、というか女の人の中がこんな感触だったとは、ちょっと想像と違ってた。
思ってたよりぐにょぐにょしてるっていうか、ぐにょぐにょされてるっていうか。
外見の綺麗さからはかけ離れた感じだ。
だから気持ちいいんだけど。
先に繋がってしまったけど、まだ服を脱がせきってない。
ワンピースは被るだけでいいから脱ぎ着が楽だと言っていたけど、それは本人がという話で、寝かせた状態で脱がそうとすると体重がかかってやりにくい。
だからまだ胸のところまで捲り上げた姿で止まっている。
そのままブラジャーを外そうと体の下に手を入れて背中を探ったけど、これも上手くいかなくて、仕方がないから胸を覆っている布の部分を下に引き下げてこれまた可愛いピンクの突起を口に含む。
男って子供だよな。
ああ、こんなこと言ったら、お前は子供そのものだとか言われるだろうな。

「ホープ‥もっと‥‥激しく‥‥」

心臓を鷲掴みにされたような気がした。
求められてると思うと嬉しくて、でも自信ない。

「え‥あの‥‥それだと‥僕すぐ‥‥」

情けないな。

「いい‥‥いいから‥」

求めに応えたい。

「‥‥わかりました」

犬みたいに何でも言うことをききたい。
猫みたいに身を摺り寄せて。
蛇のように何時間でも絡み合っていたい。

「ああッ‥そう‥ぅあッ‥‥」

もっと悦んでください。
なにもかも、僕のすべてを捧げたい。

「もっと……もっとだ……」

僕なんかじゃ、足りないですか?

「無理‥です‥‥僕もう‥」

弱気になる。
努力が必ず結果を生むわけじゃない。

「いい‥‥もうすぐ‥わたし‥も‥‥」

もうすぐ?
それなら、一秒でも僕より早く。
なんて下品な祈りだろう。

「あっ‥‥ああッッッ」

文字通り、音を上げた。
彼女の声も聞こえた気がする。
僕はもう自分を支えていることが出来なくなり、そのまま彼女の上に崩れ落ちた。





back