Reckless



チョコボが騒いでる。 
人の声も聞こえるな。
あー気持ちよさそうな女の………って、オイ!
なんだよ、なんなんだよ人の安眠を妨害しやがってよ。
マナー違反だろ?もっとこっそりやれ!大体あの嬢ちゃんたちは…………うん?
この声……ライトニング……か?
じゃあ相手は………。
確かあの辺に……、男同士で固まって寝るのはお互い嫌だったから少し離れて、だが身を乗り出せば見える位置にそれぞれいたはずだ。
居ない……。
ホープ。
まあなぁ、子を持つ父親としてあまり早すぎる性体験てのは勧められねえがよ、今の俺達ゃ明日死ぬか、心の無い化けモンになるか、硬く冷たいクリスタルになるか、これじゃあ自分を抑えろったって無理だよなぁ。
しっかし、あの姐ちゃんがあんな風になるとは……。
ホープが凄ぇ…訳じゃねぇだろうな。たぶん、ライトニング本人がああ成りたかったんだろう。
そういうことはある。
誰にだって。
そういうことは………。








「いやあぁぁぁぁっ!」

突然、震えるような悲鳴が上がった。

「どうしたっ!ヴァニラ!」

虫でも出たのかと思った。
それならその場から飛び退いたりしているはず。
ヴァニラは寝ていたそのままの場所でうずくまって頭を抱えて小さくなっていた。

「ヴァニラ、どうした?なんか怖い夢でも見たのか?」
「お願い……、お願い……、許して、ごめんなさい……。」
「おい……。」

尋常じゃない。がくがくと震えている。何かのフラッシュバックか?
まさか、おかしな薬物の禁断症状じゃねえだろうな。

「ヴァニラ、しっかりしろ!こっちを見ろ!」

目の……焦点が合ってない。完全に狂乱状態だ。どうしたら……、こんな所で一体どうすりゃいいんだよ。
まさか病院に連れてくって訳にいかねぇし、鎮静剤なんか持ってねぇし……。まてよ、本人の荷物の中にあったりしねぇかな。こういうことが初めてじゃないなら、常備薬として携帯していたり……。
いや、お前にいかがわしいことしようってんじゃないからな?ちょっとピルケースか何かないか探すだけ……。こらこら、だからそういう事を始めようってんじゃないって。
…………なんでだ。なんでお前の手が俺の服の中に?

「おい、ヴァニラ、まさか手の込んだお誘いか?でも、おっちゃん……。」

………虚しい。
何も見ていない瞳だ。相変わらず、許してだの、ごめんなさいだのブツブツ呟いている。
あのな、若い娘ならオヤジに何したって許されるとでも思ってんのかよ。ああ、いまは何も考えちゃいねぇのか。
誰に向かって謝ってんのか知らねぇが、こういうやり方で許されようと思うな、そしてそれを俺に向けるな。

「ヴァニラ、やめろ。」

聞こえてない。
上着はそのままでシャツの前だけ開けられてる。次はどうする?ベルトに手を掛けるのか?
やけに慣れた手付きじゃねえかよ。いままでどういう生活してたんだ。
こんな所でおっぱじめて敵に見つかったらどうすんだよ。
こいつを置いて逃げるか………、なんて出来ねえよな。
いつも明るく振舞ってたのは、裏に何かを抱えた反動だったのか?
そうしないと自分を保てないのか?
傍にいるなら求めに応えるしかないのかよ。
そう……だよな。だってもう……咥えられちまってるし。

「ヴァニラ、分かった、わかったよ、降参するから……そんなに必死になるな。」

気持ちいいというより痛々しくて耐えられないんだよ。

「お前も脱がすぞ。横になれ。」
「‥‥んんっ‥‥」

ヴァニラは鼻を鳴らすような声を出したが、承諾の意味なのか単に口から物が外された為に出た声なのかは判らなかった。
あのまま口でやらせておいても良かったかもしれないが、放っておくと延々しゃぶり倒されそうだからな。
言い訳じゃないぞ。断じて。
しっかし、この服はどうやって脱がせりゃいいんだ?いっか、下だけ脱がせれば。
お前な、俺が楽しんでこんな事やってると思うなよ。楽しくねえよ。最低だ。
なんでこんな……、俺がこんな小娘の下着を剥ぎ取るなんて……。
ああ、ブーツが邪魔だ。
……下半身が剥き出しになったな。
なんて姿だ。俺の事だぞ。こんなとこ誰にも見られたくない。
これがもっと大人の女だったら、悩んでるならいっちょ慰めてやろうって気にもなるもんだが、お前じゃガキ過ぎるんだよ。
露わになった股間に指を這わせてみた。
ほら見ろお前だって全然濡れてねえじゃねえかよ。カラッカラだ。
ほんとはやりたくてやってんじゃねんだろ。こうまでお前を責め立てるものは一体何だ?

「ヴァニラ……、本当にいいのか?」

どうせ耳に入ってないんだろうが話し掛けないとこっちが不安だ。
やっぱり何の反応もなしか。

「舐めるぞ。お前全然濡れてないからな。」

やだやだ、ほんとはやりたくない……ってギンギンにおっ勃てて言っても説得力ねえだろうな。男ってしょうもねえよな。
腹が立つな。いや腹も、か。
少し荒っぽくやってやろうか。

「‥う‥んぁっ‥」

ヴァニラの細い太腿を掴んで思い切り広げさせ、噛み付くように性器を舐めた。……が、だめだこりゃ。渇きすぎてる。一度口の中に唾液を溜め、空に向かってパックリ開いた女の性器の上に汚らしく落とした。オッサンだからな。やらしいだろ。

「ぁあ‥んっ‥」

もう一度顔をうずめて舌で唾液を中へ押し込んだ。
ヴァニラの高くて可愛らしい声だ。謝ってるよりずっといい。
だいぶ馴染んできたな。

「ヴァニラ、俺はな、怒ってるんだぞ。オジサンだって傷つくんだよ。だからな……。」
「うあうぅん‥‥」

中を指で乱暴に掻き混ぜる。たぶん快感より痛みの方が強いだろう。

「優しくはしてやらねえぞ。」

愛撫もそこそこに、いや愛撫なんてモンじゃない、愛なんて無いからな。
指で入り口を広げながら一気に中へ突き入れた。

「ぃッ‥‥あッ‥あッ‥」

高い声が更に高くなった。悲鳴混じりか。優しくしないって言ったろ?
太腿に力が入ってるのが分かる。今更拒んだって遅い。
うん?
予想に反してヴァニラの足ががっちり俺の腰に組み付いた。

「おい、これじゃ動けな……。」

ああ、痛いから動くなってことか。
だがそれも違った。

「っっおい!お前もしかしてプロか?」

お互いの腰と腰は隙間なくぴったりくっついてる。
なのに快感の波が襲ってくる。
ヴァニラが……、いや本人が意識してるのかは判らないが膣の入り口から奥の方へ飲み込むように締めていってる。
蠕動……と言えばいのか。
例えは悪いがミミズが土を貪欲に吸い込んでいく様に似ている。
哀しくなる。
まさか。
まさか小さい頃に変な奴に誘拐されて変なこと教え込まれて育ったっていうんじゃねえだろうな。
流石に考えすぎか?

「ヴァニラ……、ヴァニラ、何を言っても……聞こえないのか?」

ヴァニラ、お前は俺にとって可愛い存在だ。
こういう事を望んだわけじゃない。
魅力がないって事じゃないぞ。ちょっとくらいは想像もしたよ。でも……。
いや、いいか。オヤジのくせにぐだぐだ言いすぎだな。
お前だって、こうやって忘れたい何かがあるんだろ?ある程度いってりゃ歳は関係ねえよな。
いいさ、男なんて女の踏み台になってりゃ。女は男を踏みつけて前へ進み、男は女に踏まれて強くなる。うん、それでいい。

「ヴァニラ、疲れるだろ。いいから俺に任せろ。」

たぶん聞かないだろうからそのままゆっくり腰を動かす。
密着したまま……舟を漕ぐようなリズムで……。
ヴァニラ、お前は可愛い女だよ。
たぶん好きだ。
悪かった、優しくするよ。

「‥ふっ‥‥んん‥‥あ‥」

また鼻にかかった可愛らしい声が聞こえてきた。
それでいい。
腰を締め付けてた足が外れてきた。

「‥‥あッ‥‥あッ‥‥あッ‥」

よしよしいい調子だ。早すぎず、遅すぎず、一定のリズムで……。
足が完全に開いた。

「大丈夫だ。オジサンに任せておけ。」

こんな事くらいしかしてやれないからな。

「‥‥ふあっ‥‥あッ‥‥ぅん‥」

可愛い声だが泣き声にも聞こえる。

「こっからちょっと激しくするぞ。」

一人相撲みたいだけどな。
鼻に掛かった声が腹から出す声に変わる。さっきのがすすり泣きなら、今度は泣き叫ぶようだ。
できれば楽しくやりたかったよ。

「‥‥あッ‥あッ‥‥う‥ゆるし‥」

まだ言うか。
それとも女の快感から来る『ゆるして』か。
言葉なんか出なくなればいい。
こういうのは嫌なんだよ。

「‥‥ゆる‥さねえよ‥‥、もっと‥‥良く‥‥なれ‥っ‥」

あー、歳だな。息が切れて……。
俺はやもめだぞ。しばらくこういう事はしてなかったんだよ。
せっかく……、穏やかで順調な日々を送っていたのに……。
あっという間に……、全部パーだ。
俺も忘れたいよ……。
一瞬だけでもいいから……。
忘れさせてくれよ。
2人で一緒に………。

「ヴァニラ‥‥もう‥俺がもう‥保ちそうにない‥‥」

声は上げてるが手応えがいまいち判らない。
忘我の域なのは最初から…どころか始める前からだしな。

「もう‥‥いいか‥?‥‥なあ‥もう‥‥」

もう限界だ。そこまで来ていきなり気が付いた。
何も付けないでやってるし、服も着せたままだから……どこに出せばいいんだ?
腹の部分は露出してるが上手く………。

「‥‥ぅあっ‥‥しまっ‥‥」

突然絶頂がやってきてヴァニラの中から抜ききる前に出してしまった。
慌てた上にどこへ向ければいいか判断がつかず右の太腿めがけて発射した。
いい歳して何やってんだか。

「ヴァニラ、すまん!ちょっと体を起こせ。」

体を縦にして少しでも中に入った精液を出させようと、背中に両腕を廻して抱き起こす。
耳元でヴァニラが小さく囁いた。




「ごめんなさい」




泣きたくなる。
同時に引っ叩いてやりたくなった。
さっきまでの行為は無駄だったのかよ。
俺じゃ忘れさせることなんて……、こんなおっさんじゃあ無理か。

「誰に……誰に謝ってんだか知らねえが、まず俺に謝れ。」

悲しくなる。同道巡りだ。

「……ごめんなさい」

謝られても溜め息しか出ない。

「前言撤回する。もう謝るな。たぶん……そいつは許すよ。そんなに謝ってるんだから。」

ヴァニラはまるで人形のように動かない。目も閉じたまま、一度も俺の方を見なかった。

「なあ、ヴァニラ。もう忘れろよ。謝るのは、そいつに会った時でいいだろ?今日の……さっきの事もみんな夢だ。忘れろ。俺たちは何もしてない。何にもなかった。男と女じゃない。ただの……ただの、おっちゃん&おじょうちゃんだ。いいな?」

また聞いてるかは判らないが。

「お前も……ほら、彼氏とか会いたい奴とかいないのか?好きな…奴とか。」

どうなんだろう。

「………はぐれて……。」

しゃべった。

「……そうか。……でもきっと、その彼氏はお前を探してるんじゃないのか?……無事に逃げ延びて会えるといいな。それまでよ、元気じゃねえとな。また明るく笑えよ。」

「……うん。サッズ、ありがと。……疲れたから、もう寝るね。」

「ああ……おやすみ。」

疲れたから寝る……か、子供だな。
そうだ子供だ。………だからそんな子供とは何にもなかった。夢だ夢。俺も……忘れないと……。









思い出さなきゃ良かった。
いや思い出すも何も、あれは夢なんだから……。あれは悪い夢だ……。
いつの間にか静かになってる。
ライトニングは満足できたのか。
責めはしない。
生物だからそうなる。
有性生殖をする生き物だから、そうなって当然なんだ。
精々楽しむが良いさ、それが活力になるならな。
オジサンは……、大人しくしてるしかないか、大人だからな。






ヴァニラの苦悩の理由はあのすぐ後に知った。
ついでに言えば再会を願った相手は『彼氏』じゃあなかったな。




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