PASSION



passion2



それはそうだ。保証なんてものはない。ここにいる全員が明日をも知れない境遇なのだ。誰もが、恐れながらも自分を鼓舞しつつ先へ進んでいる。それを、時には先頭に立って私達を導いていたのはお前じゃなかったか?やっぱり本当は怖かったんだな。無理もない。

「どうしてなんの抵抗もしないんですか。」

それは……。
震えた手で押さえつけられても少しも怖くない。

「……出来ますよ。僕はあなたを犯す事が出来る。」

一瞬、我が耳を疑ってしまった。そして小さく吹き出した。あまりに優等生的な物言いだ。何かの例文でも口にしているのか。本当に育ちが良いんだな。なのにこんな事して。
少年は宣言通り私を脱がし始めた。どうして抵抗しないのか?それは……、それは実のところ自分でもよく解らない。なんと云うか……、母親のような慈愛の気持ちなんだろうか。いやそれはおかしいか。
冷たい手が体を走る。久しく忘れていた感触だ。飢えていたんだろうか、私も。
胸が露わになった。寝苦しいので元々胸元はだいぶ開いていたのだが。
刻印の辺りに唇が触れて体中の皮膚がざわついた。そういえばさっき……。

「あっ……。こらっ……。」

右の乳首に歯を立てられた途端、今度は体に怒りが込み上げてくる。しかしそういった負の感情はむしろ性の衝動を煽り立てるものだ。この時の私もそうなりつつあった。
彼は声を聞いて弾みがついたのか、手際よく私の下半身を剥き出しにした。ところが自分の服をぬぐのは上手くいかないようだ。いきなり初めからスマートにやれと云うのは酷な話だが、それを大人しく待っている自分の方が笑える。厭世的になっていたのかもしれない。

「‥‥んっ‥‥くっ‥んんっ‥‥」

首筋を舐め上げられて、堪らず声を漏らし、思わずホープにしがみつきそうになってしまったのを必死に堪えた。ここまで好きにさせておいて今更ばかばかしいとは思ったが。
舌が耳へ移る。何も知らなそうな顔して、一体いつ何処でどうやって学習したんだ?
一瞬、机に向かって真面目に性について勉強するホープの姿というのを想像してしまったが、股間に伸びて来た手によってすぐに中断された。

「あっ‥‥うぅっ‥」

今のは痛くて出た声だ。当然だがやっぱり下手だな。力加減がわからないうえに形状を把握してないせいだ。もどかしいったらない、いっそのこと徹底的に教え込んでやろうか。

「入れますよ。」

なに?
まだ早い。早すぎる、こんな状態では…。

「まっ‥‥つっぅ‥‥‥」

制止しようとしたが思わぬ力強さで押さえ込まれた。
子供だと思ってナメすぎたかも。

「あっ‥‥いっ‥‥たっ‥‥‥」

ろくに濡れてもいないのに強引に入れようとするから、毛と襞が中に引き込まれて痛い。
ホープは夢中になりすぎて、私のそんな様子には気づきもしない。本当にぶん殴ってやろうか。
幸いにも、そういった雰囲気ぶち壊しの結末にはならなかった。
私が耐え抜いたからではなく、彼があっけなく果ててしまったから。
始めに大口を叩いておきながら、今はみすぼらしいほど項垂れ、小さくなっている。いや、ああ言ってしまったからこそか。経験がある訳ではないが、男の『初めて』なんてこんなもんだろう。気にすることはない、と言ってやったところで納得は出来ないだろうな。そんなつまらない慰めの言葉ならかけないほうがましだ。
しかしこの中途半端な状態は許せない。
勝手にやって来て。勝手な事をして。勝手に一人で落ち込んで。
誰かが『人を巻き込むな。迷惑だ。』とか言ってたぞ。
なんなんだこれは?
責任を取らせよう。
ホープの肩を掴んだ。
彼は、跳び上がりそうなほど震え、怯えた。



back