![]()
Passion 1
何かが近付く気配がした。
手元にある剣を握り締めて、そのままの姿勢で相手の出方を窺う。いちいち起きたりしていてはキリがない。こちらの間合いまで踏み込んできたら、すぐさま上体を起こしてぶった切ればいい。面倒だ
から早く来い。
しかし意に反してそいつは言葉を発した。
ホープ。
ああ、夜中にこっそり忍んで来るなんて、面倒なことに決まってる。魔物より厄介じゃないか。
なんとかその気を削いで追い払いたい。
「ホープ?なんだ、どうしたんだ?……なんなんだ。まさか一人でオシッコに行けません、て云うんじゃないだろうな?」
さあ、そのまま回れ右して帰れ。煩わしいことは御免だ。
しかし少年は動かない。
「まさか、私を襲いに来たってわけじゃないだろう?」
甘い言葉でも囁きに来たのか?こういう状況でなければ、ある種の興味も湧くが、今はそんな気分では……。
「そうかもしれませんよ。」
え?
少し意外だった。随分成長したもんだ。と、言っている場合ではない。確かに今まであれこれ指導してきたが、筆下ろしまでしてやる義理はないはずだ。だが私は対応を間違えたようだ。私の言葉はかえって彼に火を点けてしまったらしい。
「大人になれる保証なんてないじゃないですか!」
そう言って彼は私に圧し掛かってきた。