Out In The Cold



女の悲鳴が聞こえた。

…………ライト?

魔物に襲われたのか?
あいつが悲鳴を上げるなんて。
自慢じゃねーが、あいつはこのあたしとタメが張れるほど腕の立つ女だ。
それが……。
そう考えるより早く、跳ね起きて声の出所を探した。
……が。
ふいに冷たい手で口を塞がれ、二の腕を掴まれ、おそらく持ち主の渾身の力でもって引き倒された。

……ヴァニラ。

「しぃーーっ。」

え?

「寝たふり、寝たふり。」

消え入りそうな小声で囁く。
なんでだよ……、あのままじゃ………。
あん?
これは……。
心配したあたしは死ぬほどバカだ。
こりゃあ、悲鳴じゃねえ。喘ぎ声だ、喘ぎ声。嬌声か?あんにゃろう、派手にやりやがって。
理解したのを察したらしく、口から手が外された。

「相手だれだよ?」

同じく小声で話す。

「誰って、一人しかいないでしょ。」
「あの小僧か?けどよ……。」

こんな声出させるなんて。

「あいつチビのくせにすっげぇのかな。……見に行かねぇ?」

ヴァニラがあたしの腕を抱き締めたまま、うーんと唸ってる。

「すっごい興味はあるけど……やっぱ駄目だよ。暗いし、大きさが判るほど近付くのはどうやっても無理だよ。」

リアルに接近シミュレーションしてたのかよ。大きさとかまで言ってねぇし。

「そっとして置こう。ね?」

辺りに女の悦びの声がリズム良く響いている。

「ホープとライトか……。二人とも後で味見し…、イッ…。」

乳首をつねられた。同性だと容赦ないよな。

「だーめ。そんなことしちゃ。」

そう言って腕から手を外し、今度は胸に顔を埋めるように脇から背中へ腕を巻きつけてきた。

「お、なんだ、触発されたか?」

腕に力がこもる。

「そういうんじゃないよ。……そうじゃない。」

穏やかな声だ。

「……ね。ああいうこと、あるよね?」
「ああいうこと?」
「いろいろ我慢して、行き詰まっちゃって、んーもうどうにでもなっちゃえって、バーンてはじけちゃうの。」
「あるさ。いーんだよ、それで。うじうじして溜め込んだってどうにもならねぇだろ。吐き出しちまう方がいいんだよ。」
「うん、そう……だよね……。」

ヴァニラの吐息が胸を暖める。

「ねぇ、もう絶対に、離れ離れになりたくないの。」

少し声が震えている。

「もう絶対に離れない。誓うよ。」
「本当?ずっと一緒にいる?」
「ああ、ずっと一緒だ。」
「ほんとに、ずっと、ずーっと?」
「ああ、ずーっと、ずーっと。」
「ほんとの、ほんとに?」
「ほんとの、本当。」
「ほんとの、ほんとの、ほんとに、ずーぅっと?」
「ほんとの、ほんとだよ。」
「ほんとに、ほんとに………。」

キリが無いから唇を塞いだ。



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