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ねがい1
もう限界。
だったんだろう。足が勝手に歩き始めていた。
彼女がいつも、少し離れたところで休んでいるのは知っていた。
あえて突っ込まないが、例の二人がぴったり寄り添って寝ていたから…だと思う。
全く関係なかったのかもしれないが。
足元がふわふわする。歩きながら足の裏をくすぐられているみたいだった。
躊躇いはある。向こうに行っては駄目だと、引き返すべきだと思ってるのに、止められない。
薄闇の中を息を殺して進んだ。
怖い。このままじゃ、辿り着いてしまうじゃないか。
ああ、もう目の前だ。闇に慣れた目が、横になっている彼女の輪郭を捉えた。もう少し近付こうと踏み出しかけたところで、彼女の手がしっかり剣を握っていることに気づく。もしかして、とっくに気配をさとられていたんだろうか。
「あ、あの…、ライトさん……。」
止せばいいのに。止せば良かった。もう遅いけど。
「ホープ?なんだ、どうしたんだ?」
少し怒ったような声だ。当然だよな。自分でも、一体何をしに来たのかはっきりとは判らない。
「なんなんだ。まさか一人でオシッコに行けません、て云うんじゃないだろうな。」
「そんな!いくらなんでもそれはないですよ!」
「じゃあ、何だ?」
そう聞かれても、明確な返答は出来ない。
「まさか私を襲いに来た、ってわけじゃないだろ?」
図星、だろうか?確かに願望はあったけど、何か決意をして来たわけじゃない。でも…。
「………そうかもしれませんよ。」
こんなこと言っていいのか。これってなんだっけ。売り言葉に買い言葉?
「育ちの良い坊ちゃんが無理をするな。」
カチンと来た。
子共扱いは今に始まったわけじゃないし、実際子供なんだろうけど、その言い方はない。
体中をアドレナリンが駆け巡る。バトルスタートの時のような高揚感に見舞われる。危険な兆候だ。
「僕には、出来るわけがないと?」
「出来なくていいんだよ。まだ子供なんだから。」
「大人になれる保障なんてないじゃないですか!」
自制心なんて物は、簡単に消えた。人の体って、本当に脳でコントロールされているのか?体は体で勝手行動をしているんじゃないのか。
大体なんでこの人は僕を振り払わないんだ。
僕は今、彼女に馬乗りになって両肩を押さえ付けているというのに。