私は何をしている?



答え:料理。



何故?何のため?



帰りが遅いホープのために。
帰ってきたときにすぐに温めなおせて、食べやすいものを準備している。



こんなに所帯じみてしまったのはどういうわけだろう。
一緒に暮らしてるのだから当然なのか。
まあ、そうだろうが。

別に私だけがいつも食事の支度をしているという訳ではない。
けど、朝ホープを学校に送り出すときなどはどうしても、家に残る私がやらねばという気持ちになる。
そんなとき、私はいったい彼の何なのか思い悩む。

母なのか、姉なのか、それともやはり既に妻なのか。
いつまでも堂々巡りだ。

ふ……、幼な妻なら聞いたことはあるが、幼な夫というのは聞いたことがないな。
字面を思い浮かべて少し可笑しくなった。
しかし余り笑っていられる状況でもない。

その幼い夫は、いつものようにチョコボの慣らしにヤシャス山へ出掛けていった。
野生のチョコボは何故かあの山を忌避しているが、ハリの方までは行ける事を考えると山や谷が嫌いというわけでもないようだ。
そこで、少しづつでも苦手な場所を克服するべく訓練しているのだ。

それが、滑落したとかで今もまだ帰ってこない。
大げさな話ではないようだが、ホープはかすり傷程度ではあるもののチョコボは足を痛めたそうだ。

救援を呼ぶほどではないと言っているし、子供ではありながら最早ズブのド素人ではない。
ヤシャス山など庭のようなもの。本人が大丈夫だというなら信じよう。
とは言えモヤモヤすることは確かだ。

こんな体でなければ迎えにいけるのに。

そうじゃない。

こんな体でなければ、ホープがここから一人でヤシャス山に行くなどということは無いのだ。

だからつまり………、私のせいだ。
私のせいで帰ってこない。

なんだか胸の辺りが痛い。押し潰されそうになる。
ただ待つことがこんなにも辛いとは。

信じると言いつつ不安で仕方ないんだ。
それに、もどかしくて。

こうして考えてみると、セラの行方を追っているときは楽だった。
考えるより行動できたから。

あの時は次から次へと真実を知らされて、迷い、思い悩みもしたが、それでも体を動かすことで吹っ切れるものもあった。

だが今はそうもいかない。
ここでじりじりとしているだけ。

どうしても動けないという程ではないけれど、絶対の自信も持てない。

ならばやはり大人しく待つより他ない。

この料理が出来上がってしまったら、後はどうしたらいい?
こういうのは慣れていない。
じっとしていると胸がざわざわする。
とても眠れたものじゃないが、寝室で寝たふりでもしていようか。

あいつはガキのくせに何かというと私を気遣って少々煩いくらいだ。
起きて待っていたら、生意気に小言を言うに決まっている。

体に良くありません、とか。
あなたのためを思って、とか。
いちいち苛つく。

なんでもかんでも私のため。
いつでもどんな場合でも私のため私の為。

私に仕えることが愛だと思っている。

そんなのは…………、子供の愛だ。

子供そのものなんだ………。